ここは、「ねえん、どうやって絵を描くのか、ぜひ教えてほしいわ憂ちゃん……ウフッ♪」 という私好みの女の子の質問に答えよーかと思い作成したページです。 まあ……べつに女の子じゃなくても見ていいわけですが……。 ここの内容は絵を描かかれない方にはあまり関係ないことばかりです。 そのため、なるべくわかりやすく書いているつもりですが、専門用語も多いです。 また説明上、たくさんの画像データがありますので、アップされるまでの間、 以下の文章とお付き合いくださいませ。 ★注意1 私の使うデジタル画材は、Adobe PhotoShop7.0です。 フォトショップを使う方の参考になっていただければと思います。 ★注意2 私のデジタル画材の使い方は、完全に我流です。 参考にならない部分もあるかと思いますが、ご容赦ください。 ★注意3 デジタル画材は、『なんでもできる』反面、たいへん『流されやすい』画材です。 美術の基礎的なことや姿勢を知らないうちに手を出されますと、 『デジタル画材で描く』のではなく、『デジタル画材に描かされ』てしまいます。 したがって、一度もデッサン練習をしたこともない、というような方に対しては、 この講座を読み進めることをお勧めできません。 Technical Terms よく出る専門用語 ★PhotoShop(フォトショップ) アドビ社のペイントソフト。写真編集がメインですが、イラストも描けます。 このフォトショップと、ペインターというソフトが、ペイントソフトの大御所です。 ただ、フォトショップは高いソフトでもあります。(平気で数万円します) しかし、フォトショップ2.0やLE(リミテッドエディション)と書かれたフォトショップは安く、 1万円をしないこともあります。まずは安いものを使い、物足りなくなってきたら、 思い切ってバージョンアップすることを考えましょう。 ちなみに私のフォトショップ7.0は、普通に買うと10万円します。 しかし私は学生時代にアカデミックパッケージで買ったので4万円でした。 ★CG コンピュータ・グラフィック。3Dポリゴンなどのようなもの(最近はCGI)のみではなく、 デジタル画材でつくった画像はすべてCGであると言えます。 ★レイヤー フォトショップに搭載されている画期的な描画システムです。 透明なセルシートに似た仮想的な「層」をつくりだし、その「層」の積み重ねで絵を完成させます。 1枚の絵に見えても、そのじつレイヤーは数十枚にのぼっているわけです。 レイヤーには色の乗せ方見せ方によって10種類以上ありますが、 「通常」レイヤーのほかに、「ハードライト(やや薄く色が乗る)」と「ソフトライト(ほんのりと色が乗る)」 のふたつくらいは使えるようになったほうがよいです。 レイヤーはよくセル画にたとえられることが多いですが、 私的には油絵にたとえたほうがよいと思います。 ★透明部分 レイヤーのうち、まったく色が乗っておらず、下のレイヤーの画像がそのまま 見える部分のことを言います。この透明部分をなんとなくでもアタマの隅で把握しておきませんと、 いざ全レイヤーを統合して1枚の絵にするときに、予想外のアクシデントが起こることがあります。 ★ツール 英語で「工具」の意味です。ブラシツール、拡大ツールなど デジタル画材に対する初心者の第一印象を悪くする意味不明の単語です。 ★選択範囲 画像の中につくる、仮想的な囲いです。 この選択範囲が出ている間は、その範囲の中でしか描きこみ・色調補正・フィルタ効果(後述)等を 発現させることができません。(もちろん、それを「逆」にすることなどもできます) デジタル画材は、融通の利かないおバカなコンピューターに、いかに自分の思うような 選択範囲をつくってもらうかが最大のポイントになります。アナログ画材では絶対にない苦労ですが。 ★フィルタ フォトショップは本来、写真を編集するためのソフトなので、 写真をぐにぐにとこねくりまわす効果の機能が満載してあります。それがフィルタです。 ひとくちにフィルタと言っても、たくさん種類があります。 たとえば、写真を水彩画風に加工したり、人工的に逆光をいれたりすることができます。 ★色調補正 フォトショップでは、画像の「色」を自由自在に変化させる機能が多々あります。 それらをまとめて色調補正と言います。「トーンカーブ」くらいは使えておいたほうがよいです。 露光不足の写真を明るくしたり、写真から黄色味だけを抜くなんてことは、お茶の子さいさいです。 ※ もちろん、色調補正は絵を描く上でも、それはそれは重要な機能です。 濃くしすぎた肌色を薄くしたり、「ここは青じゃなくて赤がよかったかな……」という悩みも 一挙に解決してくれます。デジタル画材ならではの強みです。 ★チャンネル けっこう高いフォトショップになるとついている機能です。「超選択ツール」といったところで、 白黒画像の白いところを選択範囲とする、特殊な擬似レイヤーをつくりだします。 しかし、なきゃないで何とかなるものなので、あったら便利程度の機能と思いましょう。 ★テクスチャ テクスチュアリングという、絵に色紙とか広告とか、石とか木とかをはりつける テクニックから派生しています。要は、画像の上から別のレイヤーではりつける別の画像のことです。 模様のようなものから実写真までなんでもよいです。 ★jpeg 「ジェイペグ」と読みます。画像ファイルは容量を莫大に食うので、効率のよい圧縮が必要です。 jpegはもっともポピュラーな画像圧縮形式だと言ってよいでしょう。 ほかにも、gif(ギフ)やping(ピング)などの形式が一般的です。 画像をオンライン公開したいのなら、画像容量は20〜80KB、いっても100KBくらいにしましょう。 ちなみに容量表現のKBは「キロバイト」と読みます。 ※ 容量を抑えるには、画像サイズ(面積)を小さくする手と、画像精度を低くする手があります。 まずは面積を小さくして、それでも容量が大きいようなら画像精度を下げましょう。 ちなみに、スキャナで取り込んだ画像であったら、全体の25〜20%程度の大きさ にすれば調度よいと思います(たぶん)。 ★タブレット ペン型のマウス(?)のついた、グラフィックボードの機器(ハードウェア)です。 微細なラインを出すには必須アイテムですが、いかんせん値が張ります……。 私は2万円くらいの、A4サイズくらいのものを使っています。 タブレットは、ボード部分にコピー用紙などを貼りつけると、 適度なすべり具合になり、さらにボードの磨耗もわずかになります。 ★スキャナ 紙に描いたものを、画像としてパソコンにとりこむ機器です(これもハードウェア)。 安いものなら電気屋さんにて1万円くらいで売っています。 フォトショップに画像を取り込む際は、スキャナをオート処理ではなくマニュアル処理にしてください。 また、こまめにガラス面をみがいておきましょう。 ★レタッチ 写真などを、パソコンをつかっていじくることの総称です。 私は自分でレタッチした写真を、よくデスクトップの壁紙にしています。 心霊写真もレタッチでつくります。 ★アンチエイリアス 選択ツールなどにある、アンチエイリアスとは、色と色のふち(エッジ)を断崖絶壁にするか(オフ)、 やさしく自然にグラデーションさせるか(オン)の設定です。(拡大ツールを使うとよく分かります) ふつうは、勝手にアンチエイリアスに設定されてます。 絵を描くぶんには、オンのほうが良いです。が、GIFファイルなどで透明部分を残して 保存するときなどは、アンチエイリアスがオンだと、エッジが汚くなってしまいます。 ☆デッサン ものの形をつかむことです。 たしかに必要な練習ですが、ある程度身につけば、後は絵を描いていくうちに 自然と上達していきます。デッサンは、算数で言えば足し算みたいなものです。 ※注意 デッサンはすべての分野の描画の根幹にあるものです。 自分で少しでも足りないとか、まったく練習したこともないという人は、 すぐにでも書店でデッサンの本を買って練習してください。 足し算を習わないうちに、連立方程式や三角関数はやらないでしょう? ☆ハイライト 絵の中でもっとも光の強く当たる部分のことを言います。 ☆ハイダーク ハイライトの逆です。もっとも暗〜い部分。 ☆暖色と寒色 赤・黄色・オレンジなどの暖かい色を暖色、 青・緑・紫などの冷たい色を寒色といいます。 ハイライトに乗せる色は、ただの白よりも、明るい暖色を、 ハイダークに乗せる色も、たんなる黒よりも、暗い寒色を塗りこんだほうが、味が出ます。 ☆空気遠近法 遠近法の1種です。遠くのものが、空気の層があるためにかすんで見えることを 利用して、ものを遠くに見せる描きかたです。 ☆パース 遠近法の1種で、日本語だと透視図法と言います。 ルネサンス時代に発明された画期的な描画方法で、画面上のベースラインを ある1点に集中させることで、遠近感をだします。 この点のことを消失点といい、点の数によって1点透視、2点透視、3点透視の種類があります。 ☆鉛筆画 やわらかさの違う鉛筆とタッチを駆使して描く単色の絵のことです。 鉛筆のやわらかさの種類は、じつに20種類以上あります。タッチの強弱や、 ティッシュペーパー、ねり消しゴムなどで影をぼかしながら、影や質感を表現します。 単色ですが、「墨に五彩あり」と言われるほどに、奥は深いです。 私は鉛筆画では6Bや4Bの鉛筆をメインに使いますが、それは単に私の好みなので、 人のことは気にせず、自分の好みを見つけることが大切です。 ☆ペン画 ジロット(G)ペンやカブラ(サジ)ペンなどの昔ながらのペンを使って描く、単色の絵の分野です。 「ペントーン」と呼ばれる模様やタッチをひとつずつ描きこんでいき、影や質感を表現します。 漫画などはコレの応用です。ペン画と鉛筆画とは似て非なるものだと覚えておきましょう。 ペン画が、鉛筆画の清書だという認識はやめてください。全然違う描画方法です。 ちなみに、ペンのインクをぬぐう用の手ぬぐいは、じつは必須アイテムです。 ティッシュではもったいないです。これも、「墨に五彩あり」。 ※ Gペンの特徴は、コシが弱いためにレタリング(活字体を書く作業)には適しませんが、 線の強弱を自在に調節できることで、微細なタッチの差を演出できることがウリです。 サジペンは反対にコシが強く、サラッとした線が引けます。 大雑把な話、ペン画を意識しないのなら、わざわざ手間のかかるペンで 墨入れをする必要はないです。ただ単に鉛筆の線をなぞるだけなのなら、 ボールペンやサインペンで充分なのです。 意味もわからず漫画家の真似してペンを使うのでは、ペンに対して失礼ですよ。 ☆インクと墨汁 ペン画に使うインクは、洋風のインクと、日本の墨汁を使う2パターンがあります。 個人的な感想からいうと、インクは水っぽく、墨汁はややねばりがあります。 曖昧な線が好きならインク、キリッとした線が好きなら墨汁を使いましょう。 また耐水インクなるものがありますが、これはふつうに使うにはまったく不向き。 なぜなら粒子が細かいために、すぐにペンの先が磨耗するのです。そして、なによりくさい。 それに、コピック程度の水気であったら、墨汁でも充分にじみませんよ。 ☆コピック コミックマーカーと呼ばれる、1本380円の高〜い彩色用マーカー。(廉価版もあるようです) 発色が鮮やかで、パレットとか水差しとかいちいち用意しなくてすむ手軽さがよいのですが、 わりとすぐにインクがなくなってしまいます。 ☆色鉛筆 消しゴムで消えない、憎らしい鉛筆たち。 ペン画に色鉛筆でアクセントをつけると、けっこうステキ、ときどきやります。 ただ、安いものだと発色が悪く、ぜんぜん使い物にならない困ったちゃんでもあります。 ☆質感 描き方を工夫して、絵の中の石や布といった素材の違いを演出することです。 はっきり言って、むずかしいです。完璧に質感を表現したら写真になってしまうし、 それは絵に求められていることではないからです。 ☆記号 記号論という理論の主役です。 人がなにかを見て、ある情報を自然に導き出す「モノ」を記号と言います。 たとえば、信号機があったとすると、信号機自体の物理的構造はなにも変化がないのに 点灯したランプが赤か青か黄色かで、人に与える記号的情報は変化してしまいます。 絵は、そのすべてが記号表現です。 ☆構図 画面上の構成のことです。記号表現を駆使し、 見る人の視点がぐるーりとまわってくれるような構図や、ひとつの点に集中させてください。 ☆色相:色の種類を言います。赤・青・黄・紫……など。 ☆彩度:色の鮮やかさを言います。彩度がゼロだと、画像は白黒写真になってしまいます。 ☆明度:色の明るさを言います。明度がゼロの色だと真っ黒、 マックスでは真っ白の色になってしまいます。 ☆補色:赤と緑、青と橙、黄と紫などの関係を補色と言います。 【最後に、デジタル画材の長所と短所について】 ★長所 1:修正が利きやすい(これは逆に短所でもあります) 2:無計画に塗ることができる 3:部屋を汚さない 4:水差しなどの準備はいらない 5:絵具が乾く時間は皆無 ★短所 1:大きくても、B4サイズくらいまでしか描けない(→これが一番イタイ) 2:画材としては、最高にとっかかりづらい分野(→なにをどうやって描くか、想像できないから) 3:意味不明な機能が多い 4:周辺機器が高い 5:色が安っぽくなりがち(→深みや味のある色が出しにくい) 6:アナログ画材しか知らない人から、ナメられがちになる 7:基本的にコンピューターはバカで、言うことを聞かない 8:絵具をこねくりまわす楽しみがない 9:修正が利きやすいので、本当に納得いくまで色などを調節しなければならない ※ なぜ修正が利くことが長所でもあり短所なのか。 なぜならアナログ塗りで失敗したときは、「これはこれで味になるな」で終わります。 しかしそれが際限なく修正できたとしたら……逆に本当に自分が納得行くまで えんえんと修正し続けなければなりません。実のところ、きりがないのです。 つまるところ、「修正できる=簡単」ではなく、「修正できる=逆に大変」ということです。 読み終えたでしょうか。そろそろ絵が表示されたと思います。 では参りましょう。 ※ ここでは、ジャージレッド様の『妖精的日常生活』の主人公、 長谷川美姫嬢を使わせていただいています。 素材としてこの絵を使いたい場合は、最初に下の絵をダウンロードしてください。 やりかたは、カーソルを絵に持っていって【右クリック】→【名前をつけて画像を保存】でできると 思います(たぶん)。マックの場合は……よく分かりません(^^; なお、もしこの絵で塗り絵をした場合にはぜひ、私にお送りください。 私なりの講評を加えて、展示したいと思います(*^ヮ^) (ファイル形式は、JpgかGifかPng、容量は30KB程度まででお願いいたします。 30KBを超過する場合は、当方で調節いたします) また、塗り絵をされた方々の絵はこちらにあります。 ぜひご覧ください♪ CG-Lecture CG講座 ★完成図を思いうかべる。 とくに必要なわけではありませんが、多少気合の入った絵を描くときは、 あらかじめどういう風に塗っていくか、アイデアを煮つめておくと後で楽です。 ただ、水彩のようにガチガチに計画を立てなければならないわけではありません。 デジタル画材は、無計画に塗ることができることが長所のひとつでもあります。 とはいえ、あなたは(たぶん)デジタル画材の初心者ですので、どう塗っていくか 皆目見当もつけられないでしょう。デジタル画材は、どういう過程で描いていくのか、 まるで想像できないという、とっつきにくさが短所のひとつです。 では、ひとつずつ順を追って見ていきましょう。 ★下絵を描き、スキャナで取り込む。 私の場合は、150kgケント紙にHB鉛筆で下描きし、 Gペンとサジペンを使って墨を入れていきます。墨は開明墨汁です。 時折、朱墨やカラーインクを使うこともあります。 描いた絵をスキャナで取り込むには、フォトショップ画面左上の【ファイル】をクリックし、 その中の【読み込み(外部入力)】という箇所にカーソルをあわせます。 するとそこで、あなたのスキャナ専用のプログラムを呼びだせるはずです。 私の場合、スキャナで読み込むときの解像度は、通常300dpiです。 印刷が前提となる場合には、400にすることにしています。 ★ゴミをとる・線画を抽出する スキャナで取り込んだばかりの絵は、紙自体の酸化による微妙な変色、 微細なホコリ、スキャナのガラスについた傷などにより、まっさらな画像ではありません。 そこでまず、目立つゴミや間違えた線などを修正器で消すように、 白い色で塗りつぶしていきましょう。 その後、【イメージ】→【色調補正】→【明るさ・コントラスト】を選択し、 「明るさ」の度合いを、30〜50くらいにまで引き上げます。すると、細かいゴミは さらっと消えてしまい、文字通りまっさらな絵になります。 次に、1枚岩だった、背景と線画を分離してあげます。 真っ白な背景のレイヤーと、線画だけのレイヤーの、間のレイヤーに色をつけていくという 方針で行きます。手順は以下のとおりです。 1:【明るさ・コントラスト】をきちんとしたか確認します。 (白い部分にムラがないかを確認するためです) 2:《自動選択ツール》で白い部分をクリックします。 【選択する色の範囲】は、50〜80くらいにすると、抽出線画に白いムラが出ません。 3:【選択範囲】→【選択範囲の反転】をクリック。 すると、線画の部分だけが選択範囲になります。 4:【編集】→【コピー】をクリックします。 5:【編集】→【ペースト】をクリックします。 これで、線画だけを抽出したレイヤーが「レイヤー1」として新たに作成されます。 6:いらなくなった「背景」レイヤーを、【編集】→【塗りつぶし】→【ホワイト】で 真っ白にします。これで終了です。 ※1:【選択範囲】→【色域選択指定】がある場合は、それのほうが楽です。 ※2:私はゴミをわざと残すことがあります。面白いですから。 ★「ブルースクリーン」レイヤー 本格的に色を塗りつける前に、「線画」レイヤーと「背景」レイヤーの間に 「ブルースクリーン」というレイヤーを作ります。 【新規レイヤー】で新しいレイヤーを作られましたら、《塗りつぶしツール》で 青い色をびゃーっと広げるだけです。 このレイヤーは、色塗りの補助をする目的で作るレイヤーです。 必要なときに、レイヤーパネルの【表示・非表示】をクリックして使います。 どう使うかは、↓で……。 ★「肌」レイヤーの仮塗り その1 「ブルースクリーン」の上に、【新規レイヤー】で「肌」レイヤーを作ります。 このレイヤーに、好みの肌色(薄いほうがよいです)をかまわず、だーっと塗りましょう。 で、その後に、不必要な部分を《消しゴムツール》で消していくわけですが……。 ここで「ブルースクリーン」が重要になってきます。 「ブルースクリーン」の表示・非表示あるとなしとでは…… これだけの差が出てきます。 左のだと、非常に見づらいですよね。 「ブルースクリーン」は白に近いベースカラーを塗るために使うのです。 ★「肌」レイヤーの仮塗り その2 そんなわけで、不必要な部分を《消しゴムツール》でくりぬき、 《自動選択ツール》で選択、【編集】→【消去】で消してしまいます。 くりぬきかたにムラがあるのは、 「肌」レイヤーの上に、他のレイヤーを乗せる予定だからです。 ★「髪」レイヤーの仮塗り 「肌」レイヤーの上に、【新規レイヤー】で「髪」レイヤーを作ります。 同様にびゃーっと塗って、《消しゴムツール》でくりぬきます。 ★その他のレイヤーも仮塗り 同じように、他の新規レイヤーも処理します。 「ブルースクリーン」は非表示にしてあります。むしろ、もう削除してしまってもよいでしょう。 現在のレイヤーを上から述べていきますと、 「線画」「髪」「アクセサリ(リボン、ピアス、手袋)」「エプロン」「ドレス」「肌」「羽」「背景」と、 計8レイヤーです。 ここで「線画」「背景」以外のレイヤーを、必ず【透明部分を保護(ロック)】してください。 レイヤーパネルにスイッチがあります。 ★「肌」レイヤー塗り その1 「肌」レイヤーから塗っていきます。 デジタル画材は、アナログ画材と違って、好きなところから(無計画に)塗ることが できます。お好みでどうぞ。 「肌」レイヤーの、影になる部分を、《焼きこみツール(中間調)》を使って色を濃くしていきます。 後で、いくらでも色調補正は可能ですので、思い切って濃くしてしまいましょう。 《焼きこみツール》の筆先は、これもまたお好みでどうぞ。 次の段階でカタチを整えますので、焼きこみはラフ(テキトー)に。 また同時に、ハイライト部分を《覆い焼きツール》で色を抜いておくとより効果的です。 デジタル画材は、影を落とすだけでなく、光を入れることもできます。 ★「肌」レイヤー塗り その2 今度は、《指先ツール》でのばして、カタチを整えます。 【指の強さ】などのステータスがありますが、それもお好みでどうぞ。 ツールの筆先もまた、お好きなものをお選びください。 ★「肌」レイヤー塗り その3 【色調補正】→【トーンカーブ】で、濃かった肌の色を、 好みの色調に変化させます。思った色になるまで、何回かくりかえしてみてもよいでしょう。 (あまりに色調補正を多くくりかえすと、元画像がどんどん崩れていきます。 トーンカーブなどは、どんなに多くとも、せいぜい4回くらいまでをお勧めいたします) 【トーンカーブ】では、現在の色調が1次関数ラインで表現され、 そのラインをゴニョゴニョ動かすと、色調がグニグニ変わってきます。 全体の色調ラインのほかに、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の関数もありますので、 (CMYKモードだと、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(クロ)) それらも動かしてみると面白い効果が生まれます。 ★「肌」レイヤー塗り その4 白目の部分を《覆い焼きツール(中間調)》で色を抜きます。 慣れないうちは、肌と白目のレイヤーを分けたほうが分かりやすいでしょう。 慣れてきたら、容量節約のため、まとめられるところはまとめたほうがよいです。 (レイヤーが多いと、パソコンの動きがニブってきます) ★「肌」レイヤー塗り その5 口の部分に《なげなわ選択ツール》で選択範囲をつくり、 《焼きこみツール》と《指先ツール》で、肌本体を塗った時のように処理します。 これも↑の白目と同じように、 なれないうちは「口」レイヤーとして独立させてしまいましょう。 指定した選択範囲は、しばらく解除しないようにしてください。 ★「肌」レイヤー塗り その6 【色調補正】→【色相・彩度】で、 茶色っぽかった口の中をピンク色にします。 ★「肌」レイヤー塗り その7 【色調補正】→【トーンカーブ】で、 【B(ブルー)】の関数ラインを調整して、すこし黄色を入れてあげます。 微妙な変化ですが、細かくこういうことに気を使っていくと、色に深みが出てくるのです。 デジタル画材では、色が安っぽくなりがちになってしまいます。 アナログ画材でほぼ勝手に発現していた、手塗り独特のムラや味が、デジタルですと 自分が意図的にしない限り、絶対に出てきてくれないのです。 (※「ペインター」というソフトは、この手塗りの味が存分に出せるデジタル画材です) ここまでで、「肌」レイヤー1枚です。 ★肌塗り・2レイヤー目 その1 「肌」レイヤーの上に、【新規レイヤー】→【下のレイヤーとグループ化】で 「肌」の従属レイヤー・「アクセント」を作ります。 従属レイヤーは、親レイヤーの描かれている範囲内でのみ動けるレイヤーです。 この「アクセント」レイヤーに、ハイライトに暖色、ハイダークに寒色を、 大胆に乗せてしまいます。 ★肌塗り・2レイヤー目 その2 「アクセント」レイヤーの描画モードを、「ソフトライト」に変換させます。 すると、肌色だけだった肌に、ほんのりと隠し味の色がついてくれます。 これも微妙な変化ですが、とても大切なことです。 ★瞳を塗る 瞳の塗り方には、人それぞれコダワリがあるでしょうから、 あえて割愛させていただきます。(私は、あまりコダワラない性質ですが……) ★「髪」レイヤー塗り その1 基本的に、肌と同じことをしていきます。 ……というより、デジタルはこれらの過程のくりかえしです。 まず、≪焼きこみツール≫と≪覆い焼きツール≫でハイライトとハイダークを ラフに描きこんでいきます。 ★「髪」レイヤー塗り その2 ≪指先ツール(筆先はチョーク)≫でカタチを整えます。 ※チョーク筆先は、Photoshop5.0以上くらいでなければないと思います。 要は、ザラザラ感がほしいだけですので、チョークのない方は、 自分でそういった筆先を作ってしまいましょう。 作りかたはまず、30×30ピクセルくらいで新規ファイルを作成します。 そこに≪鉛筆ツール≫でてきとうに黒い点を打ち、【選択】→【すべてを選択】のあと、 【編集】→【ブラシを定義】でできます。ただし、白黒画像でないと定義できないので ご注意ください。 ★「髪」レイヤー塗り その3 より柔らかい感じにするため、≪指先ツール≫の筆先を【はね】にして、 より細かくなでていきます。 ※この、はね筆先も上記のチョークと同じです。 ★「髪」レイヤー塗り その4 【トーンカーブ】で色調を調節します。 ★「髪」レイヤー塗り その5 【新規レイヤー】→【下のレイヤーとグループ化】で 「髪」レイヤーの従属レイヤー「アクセント」を、描画モード「ソフトライト」で作ります。 そのレイヤーに、肌と同じく、アクセントを入れます。 今回は、頭頂部にグリーン、毛先にレッドを入れました。 しかしそれだけだとクドすぎる場合もあるので、そういう場合には レイヤーの不透明度を下げてあげます。ここでは、50パーセントほどに落としてあります。 また同時に、新しい従属レイヤー・「ハイライト」を「ソフトライト」モードでつくり、 真っ白な色をエンジェルリング(髪のハイライトのわっか)の強調として塗ってあげます。 ★他も同様に 同様に、他のレイヤーも処理していってあげます。 「仮塗り(済)」→「焼き込み」→「指先」→「色調補正」→「アクセント」の順です。 ★お化粧 メイクをしてあげます。 「肌」レイヤーに従属レイヤーを、新たに「乗算」モードでふたつつくり、 それぞれ「チーク」、「シャドウ」としてあげます。 長谷川美姫嬢をはじめとする妖精は、皆、素直で明るい性格なので、 健康的なイメージをかもしだすオレンジをベースとしたメイクをしてあげます。 チークをまぶす部分に、赤に近く濃いオレンジ色を乗せます。 その後【フィルタ】→【ぼかし】→【ぼかし(ガウス)】で軽くぼかし、 レイヤーの「不透明度」を下げて好みの濃さに落ち着けます。 シャドウは、同じく濃いオレンジでまつ毛と皮膚のふちに乗せてあげます。 ただし、最近はシャドウはさほど流行ではないので、くどいと、ださいです。 軽く、アクセント的につけてあげてください。 ★線画の色を変える 「線画」が黒一色なので、変えてあげます。 肌や赤い色に隣接している部分は、ブラウンに、 青い色に隣接している部分は、ブルーに変えてあげることにします。 (しかし……ちょっとこの絵は線画の色の変化がわかりづらいかも……(汗)) この絵の場合、ブラウンにすべきところの方が少なそうなので、 そのブラウンにすべき部分を選択し、残りのブルーにすべきところは、 【選択範囲を反転】させて、チョンボしようとおもいます(^-^) まず「線画」レイヤーにカーソルを合わせ、 ≪なげなわ選択ツール≫で、ブラウンにすべき線を囲っていきます。 Shiftキーを押しながら選択ツールを使うと、それまで選択していた部分に 足していくカタチで、どんどん選択範囲を増やしていけます。 (※チャンネル機能がある場合、もっと簡単に選択範囲を指定できます) 選び終えましたら、【トーンカーブ】で【R(レッド)】の関数ラインを調整し、 選択範囲内の線画の色をブラウンに変えます。 次に【選択範囲】→【選択範囲の反転】をクリックし、 今度は【トーンカーブ】の【B(ブルー)】関数を調整して、線画をブルーにします。 最後の仕上げとして、色の整った線画に、 ≪焼きこみツール≫と≪覆い焼きツール≫で、線画に強弱をつけてあげましょう。 ★影をつける 一番上の「線画」レイヤーのすぐ下に、 新しく「影」レイヤーを「ハードライト」モードで作ります。 そのレイヤーに、濃い寒色で影を落としていきます。 このとき、たとえば『髪の毛以外の部分に影を落としたいんだけど……』とすれば、 まず「髪」レイヤーにカーソルを移動させ、《自動選択ツール》で「髪」レイヤーの 「透明部分」を選択したのちに、また「影」レイヤーに戻れば、円滑に影をつけることができます。 (※【選択範囲】の中に、【選択範囲を読み込む】がある場合は、もっと簡単にできます) つつがなく影を塗ることができたら、 最後に「不透明度」を好みの濃さにまで下げましょう。 ちなみにこの絵は20パーセント程度にまで落としてあります。 ★おつかれさまでした。最後に保存してね! 最後に、背景にほんのり色をつけて終わります。 といってもこれで完成ではありません。 デジタル画材は、たとえ100時間かけて描いた絵だろうがなんだろうが、 「保存(ゲームでいえばセーブ)」をしないと、まったく意味がありません。 まず、レイヤーパネル右上の三角ボタンから、【画像の統合】を選び、クリックします。 すると、これまで十数枚あったレイヤーが、新しい1枚のレイヤーとして合体します。 そして次に、【ファイル】→【保存】をクリックします。 保存形式はJpegです。もし、選ぶことのできるファイル形式にJpegがなかったとしたら、 それは、【画像の統合】を忘れている証拠です。 Jpegは保存する絵の画像精度を1〜12段階(ソフトによって差異がありますが)で 選択することができますが、「原版」となる絵は、迷わず12(低圧縮でいちばんキレイ)で 保存し、ウェブ公開するものは、その「原版」を面積縮小したり、Jpeg精度を下げたりして、 容量を20〜150キロバイトくらいまでにしましょう。 ちなみに、インターネットエクスプローラなどのブラウザの画面表示は、 機種によっても異なりますが、タテがだいたい500〜700ピクセル(画素)くらいです。 このあたりのことを考えて面積縮小すれば、問題はないはずです。 (面積縮小は、【編集】→【画像解像度】をクリックし、そこに表示されるタテヨコ数値を 自分のスキな数値に変えてあげれば、それでOKです) それでは、ほんとうにご苦労さまでした! Afterword あとがき このたびはこんなにも長々としたCG講座に最後までおつきあいいただき、 ほんとうにありがとうございます。このページが、すこしでもあなたの力なってくれれば、 私としてはほんとうに、この上ない幸せです。 さて、このCG講座最後のお話……それは、ここに挙げたワザの数々は、 あくまでも「一例」であり「基本」だということです。 大切なのは、「一例」を踏み台にして、自分でワザを考え、実践していくことです。 しかしこの「自分でワザを考える」という姿勢は、あなたはもうすでにお持ちのことでしょう。 というのも、このページはあなたに自分で手法を考えさせるように書かせていただいたからです。 たとえば色選びをとると、「ここに塗る色はR○○G○○B○○にしてください」というような よくある具体的で非人間的な表現ではなく、「濃い寒色に」と指示したり、 時にはもっといい加減に「オレンジ」とか「ピンク」といったふうに書きました。 その時あなたは、あなた自身が主観的にとらえた色を自分で考えたはずです。 私自身まだまだ未熟な筆しか持ち合わせておりませんが、 もしあなたが、なにか描きたい「何か」を見つけたのであれば、 あなただけの絵筆で、それをひとつずつ描いていってあげてください。